「親は梅干しが好きだけど、子供にはいつから食べさせていいの?」
日本の食卓には欠かせないご飯のお供、梅干し。とても美味しいですが、小さい子どもや赤ちゃんにも梅干しを食べさせて大丈夫なのかは心配になりますよね。梅干しの塩分や甘みは種類によっても大きく違います。
そこでこの記事では、こんな疑問にお答えします。
- 梅干しはいつから子供に与えて大丈夫?
- 子供におすすめの梅干しの食べ方は?
いちか 2児の母。
管理栄養士としてクリニックに勤務。その後大学院に進学して博士(医学)を取得。現在は子育ての傍ら栄養ライターとして活躍中。得意分野は悩めるママの栄養指導。科学的根拠がある栄養情報をお届けします。
梅干しはいつから子供に与えて大丈夫?
厚生労働省が公表している「授乳・離乳の支援ガイド」には、『梅干し』に関する記載はありません。つまり、少なくとも梅干しは、赤ちゃんに与えてはいけないものではないようです。
では、梅干しを与えても大丈夫なのは、いつからでしょうか?
梅干しには「梅干し」「調味梅干し」の2つの規格があります。
「梅干し」は梅を塩とシソのみで漬けたもの、「調味梅干し」は梅干しを水やお湯で塩抜きしてから昆布やハチミツなどの調味液に漬けたものです。
そのため梅干し100gあたりの塩分量は18.2gですが、調味梅干しでは7.6gと、塩分の量が違います。
参考:文部科学省 食品成分データベース https://fooddb.mext.go.jp/index.pl
子供に梅干しを与える上で気にしたいのは、次の3つです。
- ハチミツ
- 塩分
- アレルギー
ひとつずつ見ていきましょう。
ハチミツ
調味梅干しでは、ハチミツが含まれるものも人気があります。塩味と甘味の絶妙なバランスがおいしいですよね。
しかし、乳児(0歳)にハチミツ入りの食品を与えてはいけません。
乳児ボツリヌス症にかからないために、「子供にハチミツ入りの食品は1歳を過ぎてから」と厚生労働省よりはっきりと示されています。
そのため、ハチミツ入りの調味梅干しを与えるのは、どんなに早くても1歳を過ぎてからにしましょう。
参考:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161461.html
塩分
では、ただの梅干しや昆布などハチミツ以外の調味梅干しではどうでしょうか。
子どもが1日あたりに食べて良い塩分の量を見てみましょう。男女とも同じ値です。
月齢・年齢 | 塩分 |
---|---|
0~5カ月 | 0.3g |
6~11カ月 | 1.5g |
1〜2歳 | 3.0g未満 |
3〜5歳 | 3.5g未満 |
出典:厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2020年度版)
*0〜11カ月は目安量、1歳以降は目標量 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
離乳食が開始する6ヵ月以降の赤ちゃんでは、1日あたり1.5gの塩分量が目安になります。
しかし、離乳食で味付けが可能になるのは早くても中期(7ヵ月)以降。それも調味料はごく少量の使用にとどめ、赤ちゃんの食べが良いのであれば初期と同じく素材の味を生かすことが大切です。
つまり、赤ちゃんに梅干しを与える場合には少なくとも7ヵ月以降、それもごく少量にしましょう。
⇒子供が塩分を取りすぎるとどうなる?管理栄養士が必要量を解説
アレルギー
花粉症の方が生の野菜や果物を食べた時に、口の中がかゆくなるなどの症状が現れることがあります。口腔アレルギー症候群と言い、リンゴや桃などのバラ科の果物では起こりやすいことがわかっています。
梅もバラ科の果物のひとつで、成人ですが症例もあるようです。
参考:梅による口腔アレルギー症候群の1例.臨床皮膚科 61巻2号 (2007年2月)https://webview.isho.jp/journal/toc/00214973/61/2
初めて梅干しを食べさせる時は、子供の体調のいい平日午前中(病院が空いている)、ほんの少量だけ様子をみながら与えるのがおすすめです。
子供におすすめの梅干しの食べ方は?
梅干しのすっぱさでもあるクエン酸は、疲れをとってくれます。抗菌作用もあるので、夏場のお弁当には重宝しますよね。何より、梅干しは日本の伝統的な食べ物のひとつですから、上手に楽しみたいところです。
とは言え、幼児では梅干しはすっぱい・しょっぱくて食べられないというお子さんも多いでしょう。子供は大人よりも塩味を感じやすいため、私たち以上に塩味を感じています。
まだ梅干しを食べられない場合、無理して食べさせる必要は全くありませんよ。
梅干し大好きっ子の場合
一方で、梅干し大好き!おにぎりは梅!というお子さんももちろんいますよね。
1歳以上の幼児で、アレルギーの心配もないのなら、あとは塩分に気を配りましょう。
例えば可食部(食べられる部分)が約10gの小さな梅一つの場合、梅干しでは1.8g、調味梅干しでは0.8gの塩分を含みます。
幼児が1日に食べて大丈夫な塩分は1、2歳で3.0g、3〜5歳で3.5gですので、一見まったく問題がなさそうに見えます。
しかし塩分は、パン、ウインナー、しょうゆに味噌……私たちが日常的に食べる食べ物・料理のほとんどに入っていると言っても過言ではありません。
小さな梅ひとつで1日に食べられる量の半分の塩分をとってしまうので、気をつけないと塩分とり過ぎになってしまいますよね。
塩分のとり過ぎにならないためには、次のような工夫が可能です。
- 毎日は食べない、もしくは1回に食べる量を少なめにする
- 塩分含量が少ない梅を選ぶ(調味梅干しの方が塩分が少ない)
- 梅干しを食べる時には、他のおかずは塩分が少ない食材・調理法にする
さらにお子さんによっては、梅干しがあるから白いご飯が食べられる、という場合もありますよね。
そんな時は、上記の工夫を組み合わせれば、毎日梅干しと一緒においしくご飯を食べて欲しいなぁと思います。
梅干しと合う食品
梅干しは白いご飯以外にも、野菜と和えても美味しいです。
練ったり砕いたりした梅干しの果肉を鰹節と和えるだけで、色々な野菜と合いますよ。
- しょうゆの代わりに、ほうれん草や小松菜などのお浸しと和える
- ドレッシングの代わりサラダ用のきゅうりと和える
- オクラと和えて、冷奴にのせるとしょうゆがいらない
さっぱりとした食べ応えなので、大人だって楽しめちゃいます。
⇒ヴィーガン食は子供の身長や骨に悪影響?ベジタリアンについて最新論文から解説
梅干しはいつから赤ちゃん・子供に与えていいの? まとめ
梅干しを子どもに与えられるタイミングや、食べ方のおすすめを解説しました。
もう一度おさらいしましょう。
- ハチミツ入りの調味梅干しは最低でも1歳を過ぎてから。
- その他の梅干しの場合、アレルギーの心配がない場合は、味付けが可能になる7ヵ月以降からごく少量だけ。
- 幼児では、1日1個梅干しを食べると塩分のとり過ぎになる可能性があるので、量や回数を減らす・他の食品は塩分が少ないものを選ぶなどの工夫が大切。
- 子どもは大人よりも塩味を感じやすいので、梅干しが食べられない場合は無理に食べさせる必要はない。
子どもの頃は食べられなかったのに、大人になったら大好きになっていたという食品、誰でもひとつは思い当たるのではないでしょうか?
梅干しはその代表例かもしれません。周りの大人が美味しそうに食べている姿を見て興味を持ったら、ぜひ少しずつ食べさせてみてくださいね。