「朝ごはんは食べないとと言うけれど、うちの子食欲ないのよね」
「実際、朝食をとらないとどうなるの?」
「朝ごはんを食べましょう」は、私たちが子供の頃からもう耳にタコができるくらい聞いたことがあるでしょう。
でも、「朝ごはんを食べましょう」はまだしも、「バランスのとれた朝ごはんを食べましょう」は、子育てによくある「そんなのわかっているけれど、現実にはできないわ!」の一つですよね。
とはいえ、やはり私は管理栄養士として「子供は(できれば親だって)しっかり朝ごはんを食べましょう」とお伝えしたいです。
そこでこの記事では、
- 子供が朝ごはんを食べないとどうなるのか
- どうすれば朝ごはんを食べられるようになるか
を専門家の視点からご紹介します。
いちか 2児の母。
管理栄養士としてクリニックに勤務。その後大学院に進学して博士(医学)を取得。現在は子育ての傍ら栄養ライターとして活躍中。得意分野は悩めるママの栄養指導。科学的根拠がある栄養情報をお届けします。
子供が朝ごはんを食べないとどうなる?
子供の朝食欠食の影響には、短期的な視点と中・長期的な視点のそれぞれがあります。
短期的な視点とは「今日朝ごはんを食べなかったらどうなるか」、中・長期的な視点とは「朝ごはんを食べない習慣が続いたらどうなるか」ということです。
今日朝ごはんを食べないデメリット
子供が朝食をとらないと起こる一番の困りごとは、午前中に元気が出ないことです。
なぜなら、『夕食で補給したエネルギーは昼前には切れてしまうから』『体温が上がらないから』です。
夕方、お腹がすいた子供が不機嫌になった経験は、誰でも一度は心当たりがあるのではないでしょうか。
数時間前に昼食を食べていても夕方にはまたお腹がすくのが子供です。
夕食を食べてから次の昼食までの半日以上、エネルギーが持つはずがありませんよね。
『夜は寝ているだけ』と思うかもしれませんが、寝ている間にも脳をはじめとした臓器は動くのでもちろんエネルギーを消費します。
特に脳は、体全体の20%のエネルギーを消費する大食い臓器なのです。
また、人は起きる直前の体温が一番低く、起床後に食事によって体温が上がります。
朝ごはんを食べることで、体が活動モードに切り替わるのです。
保育園や幼稚園、小学校でも活動のメインは午前中です。
午前中にエネルギー切れを起こしていると、園・学校生活をイキイキと過ごせません。
さらには、本当だったら体を大きくするために貯金している分のエネルギーを、取り崩して動いているのです。
「うちの子、朝ごはんを食べていなけれど元気だよ?」という方も、ぜひ朝ごはんにトライしてみてください。
1日では効果は実感しにくいかもしれませんが、朝ごはんを食べることが習慣になったら、今よりもさらに元気なお子様の姿が見られると思いますよ。
朝ごはんを食べない習慣が続いたらどうなる?
朝食欠食の習慣は、日常的な心や体の調子の悪さと関連することがさまざまな研究で報告されています。
例として、2015年に熊本県内の小学5 年生 868 名・中学2 年生 915 名を対象とした調査研究をご紹介しますね。
引用:守田 真里子, 南 久則.小中学生の朝食内容と生活リズム及び学習意欲、健康状態の関連性~摂取食品数と味噌汁摂取の影響~.日本食育学会誌.2018 年 12 巻 2 号 p. 173-182
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shokuiku/12/2/12_173/_pdf/-char/ja
この研究では、朝食を毎日食べる習慣がないことは、次のような項目で統計的に意義のある差を認めました。
- 就寝時刻が遅い
- 学習意欲が少ない
- 自尊感情(自分を好きと思う気持ち)が少ない
- 不定愁訴(きつい、頭が痛い、眠いなど)が多い
- 肥満傾向(小学生のみ) など
ただしこれは、調査時点での朝食欠食と各質問項目との関連なので、単純に朝ごはんを食べないことが直接学習意欲の低下につながるとまでは言えないことには注意が必要です。
とはいえ、朝ごはんを毎日食べる習慣はこれだけ多くの不調と関連を認めているのは驚きますよね。
さらに大人では、朝食の欠食は肥満や生活習慣病の発症につながることもわかっています。
子供の時の食習慣は大人になってからも続きやすいので、子供のうちからぜひとも朝食習慣を身につけましょう。
⇒子供の熱中症を予防する食べ物は!?暑さに負けない体づくりをしよう!
明日から実践!子供が朝ごはんを食べるための食欲アップのコツ
では、子供が朝ごはんを食べるためのコツをお伝えします。
ポイントは大きく分けて2つ、『生活習慣の改善』と『効率よく栄養摂取』です。
生活習慣の改善
朝ごはんを食べるために、次の2つを意識しましょう。
- 寝る時間を早くして、早く起きる
- 起きてから朝食までの間に、頭や体を動かす
寝る時間を早くして、早く起きる
大人でも『朝起きてすぐに朝食』では、食べられない人が多いでしょう。
子供だって同じです。
朝ごはんを食べるためには、起きてからご飯までにある程度の時間を作たいところ。
そのためにまずやりたいことは、早起き・・・ではなく『早寝』です。
その子にとって必要な睡眠時間は決まっていますから、例えば『15分早く起きるためには、15分早く寝る』ことから始めましょう。
起きてから朝食までの間に、頭や体を動かす
保育士をしている友人は、起床後に子供と散歩をして、さらにラジオ体操をしてから朝食をとっているそう。
さすがにそこまでは難しくとも(私もとてもできません)、それだけ、朝ごはんの前に体を動かすことが大切だということです。
起きてからぼーっとテレビを見ているだけでは、やはり脳は活動モードになりにくいです。
そこでおすすめなのが「朝食作りのお手伝い」です。
- 家族全員分の箸を棚から出し、揃えて並べる
- トーストにジャムを塗る
- ヨーグルトにのせるバナナを、家族分同じ数になるように切り分ける
など、朝ごはんの準備には頭と指先を使う動きがたくさんあり、脳が動きます。
最初は親が大変でも、慣れてくると朝の貴重な戦力になりますよ!
親子の触れ合いにもなりますので、ぜひできそうなことから取り入れてみてはいかがでしょうか。
子供が朝ごはんを食べないとどうなる?影響と食欲アップのコツを伝授! まとめ
子供が朝ごはんを食べないとどうなるかについて、影響と食欲アップのコツをお伝えしました。
ポイントをおさらいしましょう。
- 朝ごはんを食べないと、午前中にイキイキと過ごせない
- 朝ごはんを食べない習慣供は、心や体の不調と関連する
- 起きてから朝ごはんまでに時間を作るよう、少し早く寝るとよい
- 食欲アップに起きてから朝食作りのお手伝いがおすすめ
子供が1日に必要とするエネルギーや栄養素は、体重あたりだと大人の2〜3倍です。
子供が元気に生活できるように、毎回の食事はしっかりと食べられるよう意識してみてくださいね!