「暑くなってきて、学校で子供が熱中症にならないか心配」
「食べ物で熱中症を予防できないかな?」
熱中症は、次の3つの原因が重なり合って起きると言われています。
- 環境:気温や湿度 など
- 身体:熱を身体の外に逃がせる能力 など
- 行動:運動や休息、給水 など
参考:環境省 熱中症予防情報サイト https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness.php
子供は大人と比べて体温を調節する力が弱いうえに、体調の変化を感じ取ったりうまく伝えたりすることができません。
環境は子供自身で変えることは難しい部分も大きいので、親から離れて過ごす日中に熱中症にならないためには、休息や給水などの適切な行動をとれるように教えるとともに「熱中症になりにくい身体作り」が大切です。
そこでこの記事では、
- 熱中症を予防する食習慣
- 熱中症を予防する食べ物
について解説しますね。
いちか 2児の母。
管理栄養士としてクリニックに勤務。その後大学院に進学して博士(医学)を取得。現在は子育ての傍ら栄養ライターとして活躍中。得意分野は悩めるママの栄養指導。科学的根拠がある栄養情報をお届けします。
熱中症を予防する食べ物は?
夏バテ気味の子供と元気な子供、どちらの方が熱中症になりやすいかは言うまでもありませんよね。
普段から体調のいい子供でいること=熱中症予防の一つです。
夏バテしないためには、以下の栄養素を意識したいところです。
- ビタミンB1
- ビタミンC
- カリウム
一つずつみていきましょう。
ビタミンB1
ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変えるお手伝いをする重要な栄養素です。
不足すると、せっかくエネルギー源となる糖質をとっていたとしても、体の中でエネルギーとして利用できません。
食事をしているはずなのに、体調は悪くなってしまいます。
暑くて食欲がわかない時、うどんやそうめんなど冷たくてツルッと食べられる食べ物は重宝しますよね。
ところが、精製された炭水化物にはビタミンB1をあまり含みません。ビタミンB1が豊富な食べ物と組み合わせましょう。
ビタミンB1を含む食べ物の代表選手は、豚肉とうなぎです。
ビタミンと言うと「野菜」のイメージがありますが、ビタミンB群は主にメインのおかずとなる肉や魚に含まれています。
「暑くて食欲がわかない。肉や魚なんて食べられない。」場合は、次のように「冷ます」「のどごしをよくする」ことで食べやすくなりますよ。
- 冷しうどんの上に野菜や茹でた豚肉を載せてサラダうどん
- うなぎを細かく切って、冷たい出し汁でひつまぶし
ビタミンC
ビタミンCには疲労を回復したり、鉄の吸収を助けたりする役割があります。ただでさえ暑さで疲れる夏は、ビタミンCもたくさん補いましょう。
ビタミンCを多く含む食べ物は、野菜や果物、イモ類です。
野菜ならピーマンやブロッコリー、果物ならキウイフルーツなどに多く含まれています。
また、柑橘類を食べると、ビタミンCだけでなく同じく疲労回復に重要なクエン酸もとれますよ。
とはいえ、まずは「好き・食べられる野菜や果物をいろいろ食べる」のがおすすめ。通常、一つの食べ物にはさまざまな種類の栄養素が含まれています。
例えば、夏の食べ物・スイカはそこまでビタミンCは多くありません。
しかし水分やカリウムなども含みますし、何より旬の食材で美味しく価格も安いのは、ぜひおすすめしたい食べ物です。
特定の栄養素にこだわりすぎず、『おやつの時間や食後のデザートにたまたま買った果物食べようかな』程度のざっくり感で、食べやすい果物や野菜を食卓に取り上げてみてくださいね。
⇒子どものおやつは栄養が必要?おやつの役割とおすすめの食べ物5選
カリウム
汗をかくと、ナトリウム(塩分)と同時にカリウムも体の外に出ていきます。
そのため、夏の水分補給では、水と同時にナトリウムやカリウムも補わなくてはなりません。
カリウムといえば果物や野菜が有名ですが、実は肉や魚・乳製品などいろいろな食品にまんべんなく含まれていますので、しっかりと食事をとりましょう。
特にカリウムを多く含むのは、バナナやアボカドといった南国系の果物です。
バナナは輪切りにして凍らせておけば、そのまま食べても美味しいし、ヨーグルトに加えたりスムージーにしたりと楽しめます。
食欲がなく、アイスばかりになってしまう…という子供には、ぜひ取り入れてみてくださいね。
⇒梅干しはいつから赤ちゃん・子供に与えていいの?おすすめの食べ方も解説
子供の熱中症対策は食習慣がポイント
子供の熱中症を予防するには、食習慣が整っていることが大前提です。
次の3つのポイントを押さえて、熱中症予防をしましょう。
- 朝食は必ず食べる
- 食事バランスに気を配る
- のどが渇く前に水分補給を!
それぞれ解説します。
朝食は必ず食べる
子供が1日に必要とする栄養素を補うには、3回の食事+おやつが必要です。つまり、朝食を抜いてはいけません。
夕食でとったエネルギーは寝ている間に使い切ります。さらには、寝ている間に汗をかき、水分や塩分だって失われるのです。
これらを補充しないまま登園・登校し、暑い中で外遊びや体育などをしたら当然、熱中症のリスクが高まりますよね。
だから、暑い夏だからこそ、朝食はしっかりととってから出かけましょう。
朝の食欲アップのコツはこちらの記事をご覧ください。
⇒子供が朝ごはんを食べないとどうなる?影響と食欲アップのコツを管理栄養士が伝授。
食事バランスに気を配る
夏バテしてくると、冷たい麺類やアイスなどの糖質に栄養が偏りがちです。
しかし、上でお話ししたように、それでは体の中でエネルギーをうまく作れなくなり、より夏バテが進むという悪循環に陥ります。
食事の準備では、「主食」「主菜」「副菜」を意識しましょう。
- 主食:ご飯やパン、麺など糖質を多く含む食べ物
- 主菜:肉・魚・卵・大豆など、たんぱく質を多く含む食べ物
- 副菜:野菜などビタミン・ミネラルを多く含む食べ物
面倒な調理は必要ありません。
例えば朝食なら、おにぎりにハムとミニトマト、牛乳を一緒に食べるだけでも栄養価は大幅にアップします。
インスタントの味噌汁に冷凍野菜を加えるのも、手軽に水分や塩分がとれるのでおすすめです。
⇒子供への糖質制限は危険?元気な体を作る糖質摂取のコツを伝授!
のどが渇く前に水分補給を!
小さい子供ではのどの渇きを訴えることが難しかったり、大きくなってからも遊びに熱中していると水分をとり損ねたりします。
水分補給は子供任せにせず、大人が気を配りましょう。
一気にたくさん飲むのではなく、その時の活動量に合わせた頻度でちょこちょこと水分補給をしましょう。
水分と同時にミネラルの補給も大切ですが、市販のスポーツドリンクばかりでは糖分をとりすぎる可能性も。
よほどの運動をしていない限り、食事をしっかりと食べていれば麦茶で十分です。
スポーツドリンクで糖分をとりすぎてしまい、逆に食事がとれなくて夏バテをしてしまうこともありますので気をつけましょう。
⇒粉ミルクを作るのは軟水・硬水どっち?やめたほうがいいのはどっち?
子供の熱中症を予防する食べ物は!?暑さに負けない体づくりをしよう! まとめ
子供の熱中症を予防する食べ物と食習慣についてご紹介しました。
もう一度ポイントをおさらいしますね。
- ビタミンB1:豚肉、うなぎなど
- ビタミンC:果物、野菜など
- カリウム:バナナなどの果物、いろいろな食材に含まれる
- 朝食は必ず食べる
- 栄養バランスに気を配る
- のどが渇く前に水分補給
暑い時期を元気に乗り切るには、日常的な身体作りがとても大切です。
熱中症の予防対策の一つとして、食べ物や食生活にも意識してみてくださいね。