「生野菜を買っても、使い切れずにダメにしてしまう」
そんな悩みをお持ちの読者さまにぜひおすすめしたいのが、冷凍野菜の活用です。
でも、冷凍野菜は、生の野菜より栄養がないのでは? というイメージがありませんか?
そこでこの記事では、冷凍野菜の栄養価を生野菜と比べてみました。
管理栄養士の私が冷凍野菜をおすすめする理由もあわせてご紹介します!
冷凍野菜を料理にうまく取り入れると、食費のムダを減らせるだけでなく、食事のバラエティが豊かになりますよ!
いちか 2児の母。
管理栄養士としてクリニックに勤務。その後大学院に進学して博士(医学)を取得。現在は子育ての傍ら栄養ライターとして活躍中。得意分野は悩めるママの栄養指導。科学的根拠がある栄養情報をお届けします。
冷凍野菜には栄養がないのは嘘?真相を調査!
それでは早速、乾燥野菜や冷凍野菜の栄養価を、生野菜と比較してみましょう。
日本食品標準成分表2020年版(八訂)には、7種類の冷凍野菜の栄養価が載っていますが、今回は下処理が面倒な「さといも」、子どもも大好きな「えだまめ」、色々な料理に入れられる「にんじん」「ほうれんそう」の4つについて調べてみました。
エネルギー・食物繊維の比較と、ビタミン・ミネラルの中で、変化率が大きかったベスト3をそれぞれご紹介しますね。
さといも(生)
生 | 冷凍 | 変化率 | |
エネルギー(kcal) | 53 | 69 | +30% |
食物繊維(g) | 2.3 | 2.0 | -13% |
マンガン(mg) | 0.19 | 0.57 | +200% |
カルシウム(mg) | 10 | 20 | +100% |
ビタミンB2(mg) | 0.02 | 0.01 | -50% |
カリウム(mg) | 640 | 340 | -47% |
亜鉛(mg) | 0.3 | 0.4 | +33% |
実は、生野菜よりも冷凍野菜の方が増える栄養素はたくさんあるのです!
マンガンやカルシウムだけでなく、鉄や亜鉛などのミネラルは、冷凍の方が生よりも多かったです。
一方で、カリウムやビタミンB2など、水溶性ビタミンを中心に減ってしまう栄養素もあります。
食物繊維はやや減りますが、自分で食べる時には下処理の手間が必要なことを考えれば、許容範囲ではないでしょうか。
えだまめ(生)
ゆで | 冷凍 | 変化率 | |
エネルギー(kcal) | 125 | 143 | +14% |
食物繊維(g) | 5.0 | 7.3 | +46% |
マンガン(mg) | 0.7 | 1.1 | +58% |
ビタミンE (αトコフェロール)(mg) | 0.8 | 1.2 | +50% |
ビタミンA (レチノール活性当量)(μg) | 22 | 15 | -32% |
カルシウム(mg) | 58 | 76 | +31% |
マグネシウム(mg) | 62 | 76 | +23% |
えだまめに含まれる多くの栄養素は、変わらないかむしろ冷凍の方が栄養価が高いという結果になりました。
水溶性ビタミンのビタミンB群や鉄などはやや減りますが、食物繊維や抗酸化作用のあるビタミンEやビタミンAはむしろアップするのは嬉しいですね。
にんじん
ゆで | 冷凍 | 変化率 | |
エネルギー(kcal) | 125 | 143 | +14% |
食物繊維(g) | 2.4 | 4.1 | +71% |
ナトリウム(mg) | 34 | 57 | +68% |
ビタミンB2(mg) | 0.06 | 0.02 | -67% |
ビタミンK(mg) | 18 | 6 | -67% |
ビタミンE (αトコフェロール)(mg) | 0.5 | 0.8 | +60% |
鉄(mg) | 0.2 | 0.3 | +50% |
にんじんでは、食物繊維、ナトリウム、ビタミンEや鉄などの栄養価がアップする一方で、ビタミンB群やビタミンKが半分以下に減ります。
ほうれんそう
ゆで | 冷凍 | 変化率 | |
エネルギー(kcal) | 23 | 22 | -4% |
食物繊維(g) | 3.6 | 3.3 | -8% |
ナトリウム(mg) | 10 | 120 | +1200% |
クロム(μg) | 1 | 7 | +600% |
モリブデン(μg) | 4 | 15 | +275% |
マンガン(mg) | 0.33 | 0.8 | +142% |
カリウム(mg) | 490 | 210 | -57% |
ほうれんそうは、クロム、モリブデン、マンガンといった微量元素(体の中にほんの少ししか存在しないが大切な栄養素)の栄養価が大幅に増えます。
表には載っていませんが、他の冷凍野菜で減りやすいビタミンB群も、ほうれんそうでは減りません。
ただし、カリウムは半分以下に減ってしまいます。
⇒野菜ジュースは野菜の代わりになる?子供への効果的な飲ませ方を紹介
なぜ冷凍野菜の栄養価は高いの?
冷凍野菜の栄養価が高い理由には、次のことなどが挙げられます。
- 旬の野菜を使用している
- 収穫後すぐに冷凍することで鮮度を保っている
参考:ニチレイ【冷凍野菜Q&A】何があるの?美味しさや栄養は損なわれないの?
思った以上に栄養素は減らず、むしろ増えるものもあるのは驚きですね。
たとえばほうれんそうは、旬である冬には夏よりも3倍ビタミンCを多く含みます。
この時期に収穫したほうれんそうが冷凍されていれば、たとえ減ったとしてもまだまだたくさんの栄養をとれるのです。
冷凍野菜では、どうしても水に溶けやすいビタミンB群やカリウムは減ってしまいます。
そうは言っても、そもそも野菜を食べなければ、これらの栄養素は摂取できません。
冷凍野菜だからこそ、色々な種類を手軽に食べられる(=栄養素をとれる)面もあるので、生野菜・果物とお互い補い合いましょう。
たとえば、カリウムは生の果物に多く含まれるので、バナナなどで補うのがおすすめです。
冷凍野菜がおすすめの理由は何?
小さい子どものいるママやパパに、冷凍野菜がとてもおすすめな理由は主に次の3点です。
- 調理が楽ちん
- 食材がムダにならないのでコスパがいい
- 料理の選択肢が増える
ひとつずつ見ていきましょう。
調理が楽ちん
冷凍野菜は、必要な分だけ袋から出して即使えます。
たとえば生のさといもは、皮をむくのにひと苦労です。
よほどさといもが好きでない限り、仕事後の夕食に取り入れようとはなかなか思えないのでは。
その点冷凍なら、すでに皮がむいてあるさといもを、凍ったままの状態で調味料と一緒に鍋に入れるだけ。
冷凍による組織の変化で、むしろ味が染み込みやすくおいしく作れるのです。
とっても楽ちんなのに、手が混んでいるように見えるなんて最高ですよね。
食材がムダにならないのでコスパがいい
冷凍野菜は、2つの観点から食材がムダになりません。
- 皮などがむいてありそのまま食べられる形なので、ゴミが減る
- 使う分だけ取り出せるので、食材をダメにすることがない
ブロッコリーの芯やにんじんの皮、ほうれんそうの根元の部分など、実は食べられることをご存じでしょうか。
食べられるとは言っても、捨てている人が多いのもまた事実です。
冷凍野菜なら、上でもお伝えしたように「すでに食べられる形」になっています。
ゴミが出ない・ゴミが減ることは、特に小さい子どもがいる家庭では重要ですよね。
また、たとえば鉄分やカルシウムが豊富なほうれんそうは、ぜひ子どもにも食べさせたい野菜です。
しかしほうれんそうには独特の苦味やえぐみがあるので、たくさん食べる子どもは多くありません。
そうなった時に、家族構成次第では生のほうれんそう一束はなかなか使いきれないケースも。
そんな時「食べたい時に」「食べたい分だけ」使える冷凍野菜は、とてもコスパがいいと言えますよね。
料理の選択肢が増える
『使いきれないかもしれない』『下処理が面倒』
この2つの心配から、購入する生野菜がいつも同じになってしまいませんか?
この悩みとは無縁の冷凍野菜を使えば、料理の幅が広がりますよ!
たとえば、「あと一品ほしいな……」と思った時に、冷凍ほうれんそうを解凍すればあっという間におひたしの完成です。
肉を焼くのならば、冷凍にんじんや冷凍いんげんを日替わりで入れれば、それだけで違うメインディッシュになります。
私は、冷凍庫に入っている野菜を全種類とりあえず入れてみた野菜の味噌汁などをよく作りますよ。
⇒フライドポテトが体に悪いのはなぜ?子どもには食べさせてはいけない!
冷凍野菜に栄養がないのは嘘?生野菜と比べてみた まとめ
冷凍野菜の魅力を、具体的な数値でお伝えしました。
もう一度まとめましょう。
- 冷凍野菜の栄養価は生野菜と比べて低くない
- 栄養価が下がるカリウムや水溶性ビタミンは、生野菜や果物で補おう
- 冷凍野菜の活用で、食材がムダにならず料理の幅も広がる
冷凍野菜を使うと、幼児がいる家庭でも「いろいろな野菜を食べたい」が実現できます。
スーパーの冷凍コーナーにはとてもたくさんの種類が並んでいるので、ぜひ試してみてくださいね。