「子供に料理はやらせた方がいいの?」「親子で料理をする効果って何?」
毎日やらないといけない料理、子供の相手をしながらの準備はとても大変ですよね。だからこそ、親子クッキングはいかがでしょうか?
「逆に大変なことになる」
もちろん最初はそうかもしれません。でも細々とでも続けると、子供が料理をする効果は絶大!
この記事では次のことをご紹介します。
- 子供の料理がもたらす効果
- 子供と料理をするときのポイント
子供だけでなく、親も幸せになれる親子クッキングのポイントをお伝えしますね。
いちか 2児の母。
管理栄養士としてクリニックに勤務。その後大学院に進学して博士(医学)を取得。現在は子育ての傍ら栄養ライターとして活躍中。得意分野は悩めるママの栄養指導。科学的根拠がある栄養情報をお届けします。
子供の料理がもたらす効果4選!
子供の脳が活性化する
大阪ガスが2004年、2006年におこなった研究で、次の結果が得られたそうです。
参考:大阪ガス ガスコンロやオーブンを使った親子クッキングコミュニケーションhttps://www.osakagas.co.jp/shokuiku/ryori_no/oyako.pdf
- 「焼く」「炒める」「盛り付ける」の動作で大脳の前頭連合野が活性化した
- 3カ月の親子クッキングにより、空間操作、図形認知などいくつかの脳の働きが、普段通りの生活を送った子どもよりも向上した
前頭連合野は、情報を整理する『こころのメモ帳』です。
前頭連合野は、脳のあちこちにファイルされている情報をかき集めて、一時的に保存することができます。そして集めた情報を組み合わせたり、ばらばらにしたりして、「これからどうするか」といったことを検討する場所です。
料理は、見る、聴く、触る、味わう、嗅ぐといった五感をフルに活用します。
もっと言えば、ただ見るだけではなく「はかる」「火にかける」といった作業を通して「注意深く見る」「予測する」ことができるようになるのです
さらには「切る」「まぜる」などの作業は集中力を高めるとともに手指の発達をうながします。
親子の絆が深まる
親子クッキングは、まさに触れ合いの時間です。手を添え、同じものを見て、出来上がった料理をともに食べることで達成感や充実感を共有できます。
さらに、子供は料理に興味津々なので、どんどん技術を習得します。最初こそ後始末の手間が増えて大変ですが、根気良くやらせれば5、6歳頃には立派な助手に。
例えば「今日のご飯は3合お願いね」と伝えるだけで、きちんと計量できるのです。これだけでも食事作りの貴重な戦力となるので、とても助かりますよ。
時間にも心にもゆとりが生まれ、心からの「ありがとう」を通して親子の絆が深まりますよ。
食べることが好きになる
保育園・幼稚園のクッキング保育で、子供たちが争うように野菜を食べたなんて話をよく聞きます。子供の好き嫌いは大人と違い固定されないので、ちょっとしたきっかけで食べることも。
ただ、家庭での料理で「好き嫌いの改善」は期待しないのがベター。とっても楽しそうに作ったけれど、一口食べて終わり。なんてことも、残念ながらよくあることなのです。
「一緒に作って楽しかった」気持ちを尊重し、親がおいしそうにいただきましょう。がっかりする必要はありませんよ。
子供にとっては、苦手な食材を『料理できた自信』『親子で楽しかった経験』が、ちゃーんと記憶として刻まれます。
その積み重ねで、もしかしたら成長したら食べられるようになるかもしれません。(もちろん、ならないかもしれません。大人だって苦手な食材がありますよね。)
自分が作った料理には愛着がわくので、たくさん作ればそれだけ食事の時間が好きになりますよ。
食品が何からできているか理解できるようになる
「ベーコンは野菜だ。」アメリカの子供の4割が信じている、また「フライドポテトは動物の肉だ。」勘違いしている子は5割いる。衝撃的な研究結果ですよね。
子供が料理をすることで、「この食品は何からできているのかな?」「植物由来それとも動物のお肉?」正しく理解することができるようになります。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0272494421001584
子供と料理するときの声かけのポイントとおすすめの作業
保育所保育指針(厚生労働省)や幼稚園教育要領(文部科学省)では、「幼児期の終わりまでに育って欲しい姿」として10つの項目を挙げています。
- 健康な心と体
- 自立心
- 協同性
- 道徳性・規範意識の芽生え
- 社会生活との関わり
- 思考力の芽生え
- 自然との関わり・生命尊重
- 数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚
- 言葉による伝え合い
- 豊かな感性と表現
子供と料理をする際、ちょっとした声かけに配慮するだけで、上にあげたさまざまな力を伸ばせます。ここでは、そのポイントとおすすめの作業をお伝えしますね。
具体的な数字を示す
「牛乳は100ml、ここの線まで注いでね」「重さが100グラムになるまで、少しずつお砂糖をのせてね(ヒャクをまだ知らなかったら「イチゼロゼロ」)」というように、具体的な数字を示しましょう。
- きゅうりを半分に切ったら2個になったね
- 計量の時は「いーち、に……」と声に出して数える
- 「全部で3杯入れたいから、残りは何杯?」
など、数を数えたり足したりするのも、数量感覚をつかむ手助けになります。
⇒野菜ジュースは野菜の代わりになる?子供への効果的な飲ませ方を紹介
色や形の変化を観察する
たとえばトマトは、外側はつるつるした赤ですが、内側は白い部分やゼリー状の部分、種などがあります。
それぞれの場所を触ってみたり、切り口を変えたりするだけでも楽しめますよ。また、ひとつひとつの動作を、具体的な言葉にしましょう。
- トマトは赤くてつるつるしているけれど、切ったら中にはたくさん種が入っているね
- 煮たらトマトが見えなくなっちゃったね など
食材を話題にする
料理中は、食材のことをいろいろ話しましょう!
- お豆腐は何からできているかな?
- このほうれん草は、おばあちゃんのお家の近くで作られたみたいだね
- 鶏さんの命をいただくおかげで、○ちゃんが元気もりもりになるんだよ
このように、食材の見た目、産地、栄養素などから、話題はたくさんあります。
目の前の食材から、生産者の姿や自分の身体の中での働きに視野を広げることは、社会や理科に関心を持つきっかけになりますよ。
子供におすすめの作業
○歳だから何ができる、何をやらせた方がいいという決まりはありません。基本的には、子供が興味を持ったものを出来る範囲でやらせる、というスタンスがおすすめです。
その上で「食べ物がついた手をなめない」「こまめに手を洗う」などの衛生概念はくりかえし伝えましょう。
こんなことができるよ、という目安をお伝えしますね。
- 2歳:キャベツ、レタスなどの野菜をちぎる、大人がボウルをおさえたものを混ぜる
- 3歳:大人と一緒にスプーンで数を数えながらはかる
- 4歳:卵を割る、ひき肉をこねる
- 5〜6歳:すりきりにはかる、量りを読む、幼児包丁で切る
もちろん、個人差や経験の差が大きいので、できないから焦る必要はありませんよ。
子供が「できた!」と喜べる経験をたくさん増やしてみてくださいね。
【年令別お手伝い実践表】
画像:子どものお手伝い調査MISAWA
https://www.misawa.co.jp/kosodate/report/second.html
子供と料理をしよう!脳に与えるいい効果とは?まとめ
子供の料理が与えるいい効果とポイントをご紹介しました。
もう一度まとめますね。
- 料理で子供の脳が活性化する
- 子供が料理上手になると親も助かる!
- 食べることが好きになる
- 食材を通して子供の世界を広げよう
- 子供の「やりたい」「できた!」を大切に
繰り返しになりますが、最初は手伝いどころかさらに手間がかかる覚悟が必要です。しかし、根気強く、少しずつ子供の「できた」を増やしていきましょう。
子供は生きる力が身につく、親は楽になる、まさにWIN-WINの関係が待っていますよ。