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    粉ミルクを作るのは軟水・硬水どっち?やめたほうがいいのはどっち?

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    「軟水よりも硬水の方が身体にいいイメージがあるけれど、赤ちゃんにも飲ませて大丈夫?」

    「たまたま家にあったミネラルウォーターが硬水。粉ミルクに使ってもいい?」

    ミネラルウォーターを飲んでいる方の中には、あえて硬水を選ぶ方も多くいます。なぜなら、日本の水道水は軟水なので、硬水を飲む場合にはミネラルウォーターを購入するしかありません。

    硬水は軟水に比べてミネラルが豊富です。不足しがちなミネラルを水からも摂取できるのが嬉しいですよね。

    では、その硬水は、赤ちゃんの粉ミルク作りに使っても大丈夫なのでしょうか?

    生まれてからの最初の1年間の大切な栄養源である粉ミルク。特に、生後半年間は、赤ちゃんが口にするのは母乳や粉ミルクのみです。粉ミルクをつくるための「水」は何を使えばいいのか、心配になるのは当然ですよね。

    そこでこの記事では、赤ちゃんの粉ミルクを作る際に硬水と軟水のどちらを選ぶべきかを解説します。

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    この記事を書いたのは

    いちか 2児の母。
    管理栄養士としてクリニックに勤務。その後大学院に進学して博士(医学)を取得。現在は子育ての傍ら栄養ライターとして活躍中。得意分野は悩めるママの栄養指導。科学的根拠がある栄養情報をお届けします。

    粉ミルクを作るのは軟水・硬水どちらがいい?

    軟水か硬水、水道水、粉ミルクはどれ?

    結論から言うと、粉ミルクは軟水で作りましょう。硬水はおすすめできません。

    理由は、硬水のメリットである「ミネラルの多さ」です。赤ちゃんは内臓や消化機能がまだ未熟です。

    ミネラルが多い硬水はお腹への負担が大きく、下痢などの原因にもなりかねません。大人では、便秘の解消を目的として硬水を飲む方も多いですよね。

    そもそも粉ミルクは、母乳の栄養に近づけて作られています。そのため、水からのミネラルが増えてしまうのはあまり望ましくありません。

    では、もう少し詳しくみていきましょう。

    硬水と軟水の違いである、硬度とは?

    水の硬度ってなに?

    水には、「硬水」と「軟水」の2種類があります。

    硬水と軟水は「硬度」という、カルシウムとマグネシウム含有量を炭酸カルシウムの量に変換させた値です。

    なお、WHOの基準では、水の硬度は次のように分類されています。

    • 0~60mg/L:軟水
    • 60~120mg/L:中程度の軟水
    • 120mg/L~180mg/L:硬水
    • 180mg/L以上:超硬水

    出典:食品安全委員会 清涼飲料水評価書 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000178391.pdf

    ただし日本では、100mg/Lを軟水・硬水の基準として用いている場合も多いようです。

    硬度は低いほどアッサリとした口当たりで、味を感じません。逆に硬度が高くなると、しっかりとしたクセのある味を感じることができます。

    東京都水道局によると、日本の水道水は、おいしさの観点から硬度10~100mg/Lを目指しているとのこと。実際に、東京都の水道水の硬度は60mg/L程度だそうです。

    また、日本の水道水は軟水ですが、ヨーロッパの多くの国や北米でも州によっては水道水は硬水です。日本に水源があるミネラルウォーターは、硬水もありますが軟水のものがほとんどです。

    日本で売られている有名な硬水にはevian(硬度304mg//L)やコントレックス(硬度約1468mg/L)などフランスが水源であるものも多いです。国や地域によっても違いがあるのは面白いですね。

    粉ミルクを硬水で作るのはNG?

    ミネラルウォーターが大好物

    では、本当に粉ミルクは硬水で作ってはいけないのでしょうか?そこで、粉ミルクを販売しているメーカーのHPを調べてみましたのでご紹介しますね。

    Q. なぜ、粉ミルクの調乳に硬水を使用してはいけないんですか?

    A. お腹を壊したり下痢の原因になることが考えられます。硬水のミネラルウォーターはミネラル分を多く含んでいます。赤ちゃんは内臓器官が未発達なため、過剰なミネラルは内臓に負担をかけます。

    引用:江崎グリコ(Glico)お客様センター

    Q. 水道水が使えない時はミネラルウォーターで調乳していい?

    災害時など、何かの理由で水道水が使えなくなった場合、調乳にはミネラルウォーターを使うしかないと思いますが、それで大丈夫ですか?(3ヵ月)

    A. 市販のミネラルウォーターにはカルシウムやマグネシウムなどのミネラル分を多く含んでいるものもあり、調乳したミルクのミネラルバランスを崩す恐れもあります。何らかの理由でご家庭の水道水が使えなくなった場合には、ミルクの調乳に適した軟水をお使いになることをおすすめします。(後略)

    引用:森永乳業 妊娠・育児情報サイト「はぐくみ」

    やはりメーカーとしても、粉ミルクの調乳には軟水をおすすめしています。

    硬水は飲料からもミネラルを補給できる貴重な機会ですが、それは大人だけにとどめておくのが良さそうですね。

    後ほど紹介しますが、粉ミルクを作っているメーカーの多くは、調乳にぴったりのお水も販売していますので、どれを買えばいいか迷うことはありませんよ。

    ⇒赤ちゃんのお通じをよくする食べ物は?出ない・便秘の時に試したい食べ物3選

    粉ミルクに硬水はNG!軟水とはどのくらいミネラルが違うの?

    粉ミルクを作るときのNG

    硬水はミネラルが多く消化に負担がかかるため、赤ちゃんの粉ミルクには使用しない方がいいとお伝えしました。

    ここでは、硬水と軟水では、どのくらいミネラルが違うかをご紹介します。

    硬水と軟水のミネラルの違い

    100mlあたりの水に含まれる、カルシウムとマグネシウムの含量を比較してみましょう。

    軟水(1)硬水(2)
    カルシウム0.1~2.4mg8mg
    マグネシウム0.02~1.1mg2.6mg

    (1)サントリー天然水 硬度約10~80mg/L
    (2)エビアン 硬度304mg/L
    数値はメーカーHPより引用

    やはり硬水は軟水よりも、カルシウムもマグネシウムも圧倒的に多いですね。赤ちゃんの授乳量の平均は1日あたり約800ml程にもなり、粉ミルクの場合も同様です。

    粉ミルクには当然、ミネラルを含みます。たとえば100mlあたり、カルシウムなら約50mg、マグネシウムなら約5mgが含まれています(食品成分データベースにて、乳児用調製粉乳13.5g(100ml分)で計算)。

    日本人の食事摂取基準によると、生後0~5カ月の赤ちゃんのカルシウム目安量は200mgです。これは粉ミルクだけでも十分にクリアできる量ですよね。

    だからこそ、調乳に硬水を使用すると、カルシウムやマグネシウム摂取が多くなりすぎてしまうのです。

    また、軟水でも硬度には幅があります。なるべく硬度が低いものを選ぶようにしましょう。

    粉ミルクには純水の使用もおすすめ

    安全なお水を飲ませてあげたい

    赤ちゃん用の飲料としては、軟水でも硬水でもなく、「純水」が販売されています。純水とは、ミネラルや有機物などの不純物をほとんど含まない純度の高い水です。

    粉ミルクの栄養バランスを変えないので安心して使用できますよ。実際、多くの粉ミルクメーカーから、調乳用として純水が売り出されています。

    • やさしい赤ちゃんの水:森永乳業
    • 赤ちゃんの純水:和光堂
    • ピュアウォーター:ピジョン

    スーパーやドラッグストアでも取り扱いがあり、500mlを100円程度で購入できますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

    大きなペットボトルでの取り扱いもあります。災害に備えて、赤ちゃん用のお水も備蓄しておきましょう。

    ⇒野菜ジュースは野菜の代わりになる?子供への効果的な飲ませ方を紹介

    粉ミルクを作るのは軟水・硬水どちらがいい?まとめ

    軟水・硬水

    粉ミルクを作る際の水についてお伝えしました。

    もう一度ポイントをおさらいしましょう。

    まとめ
    • 粉ミルクには硬水は使わない方がいい
    • 粉ミルクメーカーのHPでも、硬水はおすすめしていない
    • 硬度の低い軟水または純水を使うと良い

    粉ミルクを作る際は、粉ミルク自体の栄養素のみをとるようにし、水にはミネラルが少ない(ない)ものを選びましょう。

    赤ちゃんの育児は、ひとつひとつに細かく気を配らなければならず疲れちゃいますよね。

    水は、買った時の持ち運びも大変です。水だったら多めに置いておいて困ることはありませんから、ネットでまとめて安く購入するなどして、少しでもママやパパの負担を減らしてくださいね。