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    子供に低脂肪乳はおすすめ!?最新の研究結果は……

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    「子供にも低脂肪乳は飲ませていいの?」

    「たくさん飲むならむしろ低脂肪乳の方がいいの?」

    栄養が豊富で、子供たちも大好きな牛乳。

    牛乳なら水代わりにいくらでも飲ませてもいい気がしてしまうけれど、「これだけ牛乳を飲むなら低脂肪乳にするように」と医者に言われたという方も。

    なんとなく「子供が飲むなら普通の牛乳の方がいいのではないの?」と思いますよね。

    でも実はアメリカやイギリスなどでは、2歳以上の子供には肥満予防として低脂肪乳をすすめているんです。

    そこでこの記事では、子供も低脂肪乳がおすすめなのかを、2020年に公表された2つの研究論文をもとにお伝えします。

    赤ちゃんに牛乳を飲ませるのはいつから?離乳食と飲み物の違いを栄養士が解説。元気な子供といえば牛乳をゴクゴク飲んでいるイメージ・・・ありませんか? 「赤ちゃんに牛乳を飲ませていいのはいつから?」 牛乳...
    この記事を書いたのは

    いちか 2児の母。
    管理栄養士としてクリニックに勤務。その後大学院に進学して博士(医学)を取得。現在は子育ての傍ら栄養ライターとして活躍中。得意分野は悩めるママの栄養指導。科学的根拠がある栄養情報をお届けします。

    低脂肪乳と子供の肥満:最新研究1

    低脂肪牛乳と子ども

    論文のタイトルは「全乳と低脂肪乳の比較と小児期のか体重:系統的レビューとメタアナリシス(原題:Whole milk compared with reduced-fat milk and childhood overweight: a systematic review and meta-analysis)」です。

    栄養会での権威のひとつである米国臨床栄養学会誌に、2020年に掲載されました。

    この研究では、牛乳からの脂肪の摂取量と肥満について言及している5862件の研究のうち、基準を満たした28件の研究を取りまとめて、評価したものです。

    その結果は、「18件の研究では、むしろ牛乳からの脂肪を多くとっている子供の方が肥満率が低く、10件の研究では関連を認めない」というものでした。

    「2歳以上の子供に低脂肪乳を推奨する」というガイドラインを否定するような示されたのには、驚きますよね。

    研究者は、牛乳の摂取量が増えることで、次のメカニズムにより肥満が抑えられているのではないかと述べました。

    • 相対的に砂糖入り飲料の摂取量が減っている
    • 牛乳により満腹感が得られ、高カロリーの食事への欲求が減っている

    出典:Vanderhout SM et al.Whole milk compared with reduced-fat milk and childhood overweight: a systematic review and meta-analysis. Am J Clin Nutr. 2020 Feb 1;111(2):266-279.
    https://academic.oup.com/ajcn/article/111/2/266/5680464

    ⇒子供の肥満を治すには?原因は食べ過ぎや運動不足?管理栄養士が教えます。

    低脂肪乳と子供の肥満:最新研究2

    論文のタイトルは「子供における、全脂肪または低脂肪乳製品の摂取量と肥満度および心血管代謝の健康:系統的レビュー(原題:Whole-Fat or Reduced-Fat Dairy Product Intake, Adiposity, and Cardiometabolic Health in Children: A Systematic Review)」です。

    こちらも栄養会では権威のある米国栄養学会誌に、2020年に掲載された研究論文です。

    この研究では、全脂肪乳と低脂肪乳(牛乳だけではなく乳製品全般)の摂取が、それぞれ子供の血圧や脂質などに与える影響を評価した研究のうち、基準を満たした29の研究結果をとりまとめました。

    主な結論は次の2つです。

    • 低脂肪乳が全脂肪乳と比べて子供の肥満や健康にいいという結果は得られていない。
    • 正しく結果を評価できるだけの研究が足りていない。

    対象となった多くの研究は、観察研究といって研究者は対象者に何も介入しない研究方法でした。

    そのため、『肥満児の親は子供の体重を増やさないために低脂肪乳を選び、やせている子供の親は子供の体重を増やすために全脂肪乳を選ぶ』という、逆転現象の影響を取り除けていないのだそう。

    研究者は、今後、低脂肪乳の効果を正確に測れる方法での研究が必要だと述べました。

    出典:O’Sullivan TA et al. Whole-Fat or Reduced-Fat Dairy Product Intake, Adiposity, and Cardiometabolic Health in Children: A Systematic Review. Adv Nutr. 2020 Jul 1;11(4):928-950.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32119732/
    https://academic.oup.com/advances/article/11/4/928/5760740

    低脂肪乳と子供の肥満:2つの研究結果から言えることは?

    子どもの肥満

    この2つの研究結果から言えることは、次の通りです。

    • アメリカ等のガイドラインでは子供にも低脂肪乳を勧めているが、肥満予防の効果があるとは言えないかもしれない。
    • 「肥満児はあえて低脂肪乳を飲んでいる」というバイアスを取り除ききれていないので、まだ研究が不十分である。

    また、牛乳をたくさん飲むと相対的にジュースを飲む機会が減るなど、牛乳そのものだけでは肥満への影響は語りきれません。

    つまり、これらの結果をふまえて言えるのは、普通の牛乳だろうが低脂肪乳だろうが、好きな方をほどほどに飲みましょう、ということです。

    低脂肪乳は、牛乳(生乳)から乳脂肪の一部を除去した加工乳です。

    100gあたり牛乳が61kcalなのに対し、低脂肪乳では42kcalと低エネルギーになっています。

    その他の栄養素には大きな違いはみられません。

    価格は低脂肪乳の方が安いですが、味は牛乳の方が濃いと感じるでしょう。

    肥満を気にして低脂肪乳を与えても、子供が味を好まずに飲まず、代わりにジュースの量が増えてしまった……では意味がありませんものね。

    逆に、子供は低脂肪乳も好き、牛乳を毎日何杯も飲み太り気味……という場合は、低脂肪乳にしてもいいかもしれません。

    そのまま飲む時は牛乳、ココアを飲む時は低脂肪乳などの使い分けもできますね。

    あまり牛乳の種類だけにこだわらず、『いろいろなものを食べる』『よく動く』『よく寝る』と生活習慣全体を整えるのがおすすめです。

    ⇒ココアのカフェインは何歳からOK?子供が飲んでも大丈夫!?

    低脂肪乳は子供にもおすすめ?最新の研究結果まとめ

    低脂肪乳について調査する子供

    低脂肪乳は子供にもおすすめかどうか、最新論文を紹介しながらお伝えしました。

    もう一度おさらいしますね。

    まとめ
    • 複数の研究結果をまとめた系統的レビュー・メタアナリシスで、低脂肪乳が肥満を予防するという結果は得られていない。
    • 低脂肪乳の効果を正しく評価できるだけの研究がまだ不足している。
    • 好きな方の牛乳をほどほどに飲むのがおすすめ。

    低脂肪乳がいいのかな?と悩んでいる読者様は、とりあえず一度親子で飲んでみてはいかがでしょうか。

    子供の感想によって、家庭での方針が見えてくるかもしれませんよ。