新年の食べ物といえば「お餅」。
一年のうちに冬の時期にしか食べないというご家族も多いでしょう。
お餅を食べると「あぁお正月だなぁ」という気分が味わえますよね。
ところで、赤ちゃんだった子供が少し大きくなると、こんな疑問が湧きますよね。
「子供にはいつから餅を食べさせて大丈夫?」
そこでこの記事では、次のことをお伝えします。
- 餅は何歳から食べられるのか
- お餅を食べずとも雰囲気を味わえるおすすめの方法は?
残念ながら、お餅は窒息事故が多い食べ物です。
安全に配慮しながら楽しむポイントを解説するので、必読です!
いちか 2児の母。
管理栄養士としてクリニックに勤務。その後大学院に進学して博士(医学)を取得。現在は子育ての傍ら栄養ライターとして活躍中。得意分野は悩めるママの栄養指導。科学的根拠がある栄養情報をお届けします。
お餅を子供に食べさせて良い目安の時期
子供の体の大きさと口の中の発達状況は、必ずしも一致しません。
体が大きいからといって「食べられる」わけではないのです。
そのため「お餅を食べさせて大丈夫!と太鼓判を押せる年齢はない」のが正直なところです。
しかし、あえて言うならば、「奥歯が生えそろう3歳過ぎ」というのがひとつの目安になります。
次に挙げる口の動きができているかを確認しましょう。
- 前歯から口に取り込んだ食べ物を、丸のみせずに奥歯に送れているか
- アゴを左右に動かしてすりつぶせているか
実は、歯を上下にカチカチ動かすだけでは噛めません。
アゴをを左右に動かすことですりつぶせ、食べ物を飲み込める大きさにできるのです。
外から見て、アゴが歪んでいるかどうかで確認できます。
餅は特にベタベタしているので、飲み込むまでに奥歯で念入りにすりつぶせているかを確認しましょう。
お餅を子供に食べさせる時に気をつけるポイントは?
消費者庁によると、平成22年から26年までの5年間で、14歳以下の子どもの食品による窒息死は103件あったそうです。
そのうち0〜2歳が66件、3〜6歳が11件でした。
また、餅が窒息死の原因となったのは、103件中8件未満(その他食品としての分類のため、実数は不明)ですした。
マシュマロやゼリー、団子のようなお菓子類や果実・パンの方が、詰まらせて亡くなった子が多いのです。
出典:消費者庁 食品による子供の窒息事故に御注意ください!https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/170315kouhyou_1.pdf
つまり3歳以降は、きちんと気をつけさえすれは、餅による窒息死は怖がりすぎる必要はありません。
消費者庁が公表している『食品による子どもの窒息事故を予防するポイント』から、餅に関係する部分を抜粋して紹介しますね。
*消費者庁 のどにものが詰まってしまったときの応急処置
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201809/2.html#section002
*日本小児科学会〜食品による窒息 子どもを守るためにできること~
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20201030chissoku.pdf
食品を小さく切り、食べやすい大きさにする
子供は大人と比べて、一口の量が定まっていません。
ちょっとしか口に入れないこともあれば、口いっぱいに頬張ってしまうことも。
そのため、一口で食べられる程度の大きさに切り、食べたものを飲み込んだことを確認してから次の一口を食べることを徹底しましょう。
飲み物を添える
お餅を食べる一口の合間に水や牛乳を飲み、口や喉を湿らせましょう。
お雑煮など、汁物に入ったお餅でもいいですね。
ただし、水分の力を借りて餅を一緒に飲み込むのは危ないです。
お餅と水分摂取は交互におこないましょう。
急いで飲み込ませない
ゆっくりとよく噛み、奥歯ですりつぶしてから飲み込むことが大切です。
子供が餅を口に入れた状態のときに「早く食べなさい」と急かすことのないようにしましょう。
食事に集中できる環境にする
遊びながらや、歩きながら、また寝転んだ状態で食べるのは、お餅に限らず危険です。
『座って正しい姿勢で食べる』という習慣は、マナーだけでなく食べ物を喉に詰まらせないという意味のあるしつけなのです。
口に食べ物を入れたままおしゃべりに夢中になるのも、安全面からも控えたいところですね。
驚かせない
もし大人が目を離したスキに子どもがお餅を口いっぱい頬張っていたら……。
思わず大きな声で「危ない!」と言ってしまいそうですが、グッとこらえましょう。
子供が親の剣幕に驚いて、思わず飲み込んでしまうかもしれないからです。
実際に過去にはそのような状況で、スーパーボールにより窒息死してしまった事例もあります。
ドキドキする気持ちはわかりますが、「ちょっと多すぎるから、少し口から出そうね」と、努めて冷静に声をかけてくださいね。
よく見守る
最終的にはこれに尽きます。
子どもの窒息は、ご飯やパンといった日常的に口にする食品で起こる方が多いです。
つまり、どんな食べ物でも食べ方を誤ると事故につながる危険性がある、特にお餅は食べるのが難しい、という認識でいましょう。
⇒赤ちゃんのお通じをよくする食べ物は?ウンチが出ない・便秘の時に試したい食べ物3選
お餅風レシピで子供と一緒に楽しもう!
お餅を食べさせるのはまだやめておこうかな……と思った読者さまは、お餅「風」の食品で子供と一緒にお餅料理を楽しんでみてはいかがでしょうか。
ここでは、代表的なお餅料理を3つについておすすめのお餅風レシピをご紹介します!
きなこ餅風アレンジ
使うものは簡単、ご飯です。
お餅の代わりに使うので、普通に炊いた残り物のご飯で構いません。
わざわざもち米を炊いたものを用意する必要はありませんよ。
材料(2〜3人分)
- きなこ 大さじ2
- 砂糖 大さじ1
- ご飯 お茶碗1杯分
作り方
- きなこと砂糖を混ぜておく。
- 子ども一口大の大きさのご飯をラップによそり、モミモミして少しつぶし、丸めて平たくする。
- 2に1をまぶす。
きなこの代わりに、砂糖としょうゆを混ぜた調味液に海苔をつけて巻いたら、しょうゆ餅風になります。
普段のおやつにもおすすめです。
お雑煮風アレンジ
お雑煮に入れておいしいお餅風食材は「じゃがいも餅」です。
もちもちしているけど噛み切りやすいですよ。
お餅と同じ炭水化物を多く含む食品なので、栄養面もバッチリです。
材料(2〜3人分)
- じゃがいも 1個
- 片栗粉 大さじ2
- 牛乳または水 大さじ1
- 鶏肉、にんじん、野菜などお雑煮に入れたい具
- だし汁
- しょうゆ
作り方
- だし汁で野菜や肉を煮て、しょうゆで味付けをする。
- じゃがいもは4つに切り、ラップに包んでレンジで3〜4分加熱する。
- 熱いうちにじゃがいもをつぶす。
- 片栗粉と牛乳(または水)を入れてこねる。
- 一口大の大きさに丸めて平たくし、油を薄く敷いたフライパンで両面を焼く。
- お椀にじゃがいも餅を載せ、1のお雑煮をよそう。
じゃがいも餅は油の代わりにバターで焼き、しょうゆと砂糖で甘辛な味付けにして食べてもおいしいです。
おしるこ風アレンジ
おしるこに入れておいしいお餅風食材は「豆腐入り白玉」です。
白玉はそのままでは弾力があり噛み切りにくいですが、豆腐を入れることでサクッとした食感になります。
材料(2〜3人分)
- 白玉粉 100g
- 豆腐 150g
- 砂糖 小さじ1
- あんこ 200g
- 水 180ml
- 塩 少々
作り方
- ボウルに白玉粉と砂糖を入れ、崩した豆腐を少しずつ加えよく混ぜる。
- 耳たぶくらいのかたさになったらまとめて、一口大に丸め中央にくぼみをつくる。
- 沸騰したたっぷりのお湯で茹でる。浮いてきたらさらに1分茹でる。
- 冷水にとり冷ます。
- 鍋にあんこと水、塩を入れてかき混ぜながら火にかける。
- あんこが溶けたら火を止める。
- お椀に白玉を載せ、6をかける。
しょうゆと砂糖、片栗粉を鍋で煮たあんにかければみたらし団子がで、きなこ砂糖にかければきなこ団子ができます。
お餅は子供にいつから食べさせていい? まとめ
子供にお餅をいつから与えていいか、与える際のポイントをお伝えしました。
もう一度おさらいしましょう。
- お餅は3歳以降、奥歯が生えそろいしっかり噛めるようになってから
- 安全に食べられるためのポイントを守る
- 小さいうちは無理して与えずに、お餅風レシピを楽しむのもおすすめ
お餅は、普段から食べ慣れない食品だからこそ、いつも以上に安全には気を配りましょう。
今回ご紹介した、消費者庁の『食品による子どもの窒息事故を予防するポイント』は、ふだんの子供の食事にも言えることです。
ぜひ意識してみてくださいね。